日商簿記検定試験を受験しようと思っているあなたは、試験に合格するために何が必要かおわかりでしょうか?
試験に合格するコツは2つあります。1つ目は、「専門学校の通信講座を利用すること」です。そして2つ目は、「過去問対策をして分析をすることで本試験への慣れと点数アップのノウハウをつかむこと」です。
その理由は、資格試験においては「①試験範囲の個別論点を網羅すること」と「②試験の傾向を把握して総合的に合格点をとること」が必須だからです。具体的には次の通りです。
①TAC・クレアール・ユーキャンなどの講座で簿記検定試験の全範囲をおさえること
②過去問3年間分を解いて傾向把握をして、分析をすること
①については、本サイトの各種勉強法をご覧いただきたいと思います。
そこでこのページでは、②試験の傾向を把握して総合的に合格点をとることにフォーカスし、過去問を「いつ解くか」「分析する際のポイントは何か」「把握すべき内容は何か」についてお示ししていきます。
Contents
過去問を解く時期·分析ポイント
日商簿記検定3級試験に合格するためには、過去問を分析することが有効です。以下に、過去問対策は「いつ開始するべきか」「いつ分析するべきか」「分析のポイントは何か」について示していきます。
いつ過去問を解くか?
簿記学習は、次のステップを踏んでください。
【簿記学習の5ステップ】
第1ステップ:テキストを読む
第2ステップ:問題集を解く
第3ステップ:直前答案練習会に参加する
第4ステップ:公開模試を受験する
第5ステップ:過去問を解いて分析する
最後の第5ステップ目が、過去問を解いて分析をする時期です。
簿記学習の締め段階にこのステップを入れることで、「総合問題に対応する力」「試験に対する時間配分の仕方」「合格点を勝ち取るコツ」を身に着けることができるようになります。
第1~2ステップで1ヶ月半~2ヶ月かけて、通信講座で基礎力を徹底的につけて下さい。そして、残りの1ヶ月~1ヶ月半で第3~5ステップを踏むことが理想です。
参考になりますが、通信講座の3級パックなどでは第3~4ステップが講座の中に組み込まれていることが多いです。また、過去問対策講座が設定されている場合もあります。
第4ステップまで地道に学習を積み重ねて来ていれば、基礎力は十分についています。日商簿記検定3級試験の合格点(100点満点中の70点)をとる力はついています。あと必要なことは、本試験に出題される問題の傾向を把握して、確実に得点をあげる力を養うことです。
そのためには、最終の第5ステップで過去問を解いて分析をすれば合格にぐっと近づきます。本試験1ケ月半前(45日前)に過去問に取り組むことができれば理想的です。しかし、現実的には時間の制約があるため、本試験前1ケ月前になる時点から過去問を解いて、本試験対策を開始することがよいといえるでしょう。
(参考)過去問を解く時間がない場合の対処法
こういった場合には、過去問対策を次のようにするしかありません。
すなわち、「本サイトで過去問をさっと眺めて試験の傾向を把握しておいていただくこと」です。これだけでも本試験の際に落ち着いて受験をすることができます。
過去問分析のポイント
テキストと問題集が一通り終わっていることが前提になりますが、本試験の1ヶ月前に合格率の平均的な回の過去問を1度試験的に解いてください。
その際には、次の4つのポイントをチェックしてあなた自身の手で紙に書いておいてください。これが、過去問分析のポイントになります。
【過去問分析のポイント】
- 全5問をどのくらいの時間で解けるか?
- 時間内で解くことができたか?
- それぞれの問題の傾向は何か?
- 何点とることができたか?
4つのポイントをご自分で把握できたら、過去問を解くことで合格点にたどり着くために次の3ステップを踏んでください。
【過去問分析による合格のステップ】
ステップ | 実施すること | 開始時期 |
第1 | 過去問を時間を計って解く | 本試験1ケ月前から開始 |
第2 | 自分で解いた後、過去問を分析する | 本試験3週間前から開始 |
第3 | 間違えた箇所を『過去問 間違いノート』に記入する | 本試験2週間前から開始 |
第2ステップの注意点
自分で過去問を分析することが得点を伸ばすコツです。「肌で感じる」というイメージです。ただし、どのように分析すればよいかわからない場合は、本ページの最後に貼り付けた「過去問の分析結果」のリンクをご覧ください。必ず、合格に近づくヒントになります。
そして、基礎期に学習したテキスト・応用期に解いた問題の該当箇所を必ず確認してください。
第3ステップの注意点
第2ステップの後、意味がわからない場合には講師に質問をして、解法のプロセスを『過去問 間違いノート』に記入しておいてください。
そして、本試験前日と当日に『過去問 間違いノート』を必ず見直してください。
過去問分析で把握すべき内容
過去問を自分で解いて分析することで、本試験で問われるポイントがわかります。以下に示す過去問分析のポイントが、日商簿記検定3級試験で理解すべき内容です。
仕訳
簿記は、毎日毎日の取引についてルールを決めて『仕訳』を行って記帳していくツールです。『仕訳』は簿記の基本です。正確な仕訳を素早く切れることが、簿記検定3級試験に合格するコツです。
ここで注意すべき点は、仕訳は単に丸暗記するのではなく意味を必ず考えて理解をすることです。単に丸暗記をした仕訳はぴったりと型にはまった問題以外には役立ちません。頭を使って仕訳の意味を考えることで、本試験でも応用が効くのです。
帳簿
主要簿(主に総勘定元帳)と補助簿の金額とが一致するかを確認することがポイントです。
補助簿の種類をすべておさえ、過去問で間違えた補助簿の記入方法と計算の仕方を確認してください。
財務諸表
残高試算表に決算整理仕訳を加味して、財務諸表(貸借対照表と損益計算書)を作成する過程の理解が重要です。簿記検定3級試験では、決算整理仕訳を正確に起こせることが最大のポイントです。
これは手を使って作成できるもので、『慣れ』の部分に大きなウェイトがあります。
決算の流れ
決算書は、会社が年単位でどれだけ財産が増え(減り)、どれだけ儲け(損失)があったかを把握するために帳簿を締め切って作成します。会社の「日」「月」「四半期」「期末」という各締め段階での流れをしっかりと理解しておかなければ作成できません。
決算を正確に行うためには、簿記一巡の取引を理解・暗記しておく必要があります。
通信講座の種類によって、「簿記一巡の取引」をいつ学習するか異なってきます。しかし、「簿記一巡の取引」は簿記学習の基礎ですので、一般的には始めの段階で学ぶことが多いです。始めに流れを把握させる意図があります。したがって、簿記3級を理解するためには、テキストを見ないで自分でその一連の流れを説明できるレベルにしておくことが非常に大切です。
【理解すべき内容】
- 仕訳
- 総勘定元帳に転記
- 総勘定元帳と補助簿で残高照合
- 合計残高試算表作成
- 決算仕訳投入
- 精算表作成
- 財務諸表作成
この「簿記一巡の取引」の理解が、簿記3級試験の合格のポイントです。
その他
上記4つの他に「伝票会計の理解」と「帳簿の理解」をしておくことで、本試験に自信を持ってのぞめます。
まとめ
以上のように、日商簿記検定3級試験の過去問分析をすることで合格に近づけることがお分かりいただけたと思います。このページでは、「過去問を解く時期」「過去問分析のポイント」「過去問を分析することで把握すべき内容」を説明してきました。そのためのステップとチェックポイントをお示ししました。
過去問は基礎力が十分についてきた時期(本試験の1ケ月前が目安)から試しに1回分解き、自分なりに傾向を把握することからはじめます。そして、試験問題の傾向が把握できたあとは、過去問を順次解いていき試験慣れをしておきましょう。
どの資格試験でも攻略法は基本的に同じです。過去問を解いて分析することは、合格を手繰り寄せる最も大切なことです。日商簿記検定3級試験で合格率が40%近辺の問題は、質・量ともにバランスよく出題されていることが多いといえます。このような問題は何度も解き、不明な点をなくしておくとあなたが受験する際に非常に役に立ちます。
過去問を解いた後、分析することで本試験の内容が明確になります。その結果、おさえるべきポイントがはっきりとわかります。簿記検定3級は仕訳にはじまり、財務諸表を作成するまでの一連の流れを把握することが最も大切です。
このページで「過去問を解く時期」「分析ポイント」「把握すべき内容」がおわかりになったと思います。あとは、ステップを踏んで地道な学習を積み重ねていくことが大切です。
この記事を読まれたあなたが日商簿記3級試験受験を決意し、合格を勝ち取られることを私(管理人)は切望しております。
(参考)日商簿記検定3級試験過去問の分析結果