もともと会社で経理の仕事をしており、最近少し慣れもでてきて、最近仕事が停滞気味と感じていないでしょうか?
そんなあなたにおすすめなのが、簿記検定資格を取得することです。実務一辺倒でがむしゃらに仕事をされてきた場合でも、レジャーを楽しみながら仕事をされてきた場合でも、簿記資格取得はキャリアアップのために是非おすすめできます。
なぜなら、打合せや会議のオフィシャルな場所で発言したときに、ベースとして簿記の知識があると説得力ある言葉で説明ができるからです。
たとえば、海外の会社を買収する会議をしているときに、「10億円投資をすると、買収した会社が3年目から利益がプラスになりはじめます」といったプレゼンテーションをしている上司や先輩をみて、説得力があると感じたことはないでしょうか?
数値の裏付けをしっかりと織り交ぜて理路整然と説明することで、周りの先輩・上司のあなたに対する見方も変わってきます。簿記の知識があると、数値化した考え方や話し方ができるようになります。
そこでこのページでは、経理職でキャリアアップを積むために必要な簿記資格取得について紹介します。
Contents
キャリアアップの方法
経理職でキャリアアップを積むためには、「徹底した実務効果を出すこと」と「経理関連資格を取得すること」です。ここでは、経理職に最も身近で効果のある簿記検定資格取得によるキャリアアップ法を紹介します。さらに、簿記検定資格は経理職以外でもキャリアアップにつなげられるということもお示しします。
簿記の学習を開始した場合には、1年間は、簿記検定試験にすべてをかけましょう。簿記検定の試験勉強を開始する段階からキャリアアップのスケジュールを描けることがベストです。しかし、資格を取得する前にイメージすることは難しいですので、試験に合格した後に数年計画を立てることをおすすめします。
キャリアアップの方法としては、次の2つがあります。
会社内でのキャリアアップ
1.経理部門でのキャリアアップ
会社で経理実務をこなす一方で、日商簿記検定資格を取得することがキャリアアップには欠かせません。
経理部門に配属後、半年以内で日商簿記検定3級を取得し、さらにその後、半年以内で日商簿記検定2級を取得することをおすすめします。すなわち、経理部門に配属になってから1年で日商簿記検定3級と2級を取得するのです。
配属後半年以内・・・日商簿記検定3級資格取得
配属後1年以内・・・日商簿記検定2級資格取得
経理部門配属後、1年以内に資格取得する効率的な方法
=3級と2級がセットになっている通信講座を受講すること!
日商簿記検定資格を取得することで「社内でのあなたのアピールができる効果」と「今行っている仕事がわかるようになる効果」とがあります。
【効果1】社内での自分の価値をアピールできること
【効果2】現在行っている仕事がわかるようになること
①日商簿記検定3級取得効果
・第1四半期決算と第2四半期決算の実務の意味がわかる
・半年で3級の勉強(理論)を終えることができる
・実務と理論との両面を理解することができる
②日商簿記検定2級取得効果(参考)
・第3四半期決算と期末決算の実務の意味がわかる
・1年で3級と2級の勉強を終え、簿記の基礎が身につく
・実務と理論との両面を深く理解することができる
2.経理部門以外でのキャリアアップ
社内で、経理部門から他部門に異動してキャリアアップを目指す場合には、経理実務で培った経験を有効に活用できます。
経理部門に配属後、半年以内で日商簿記検定3級を取得し、さらにその後、半年以内で日商簿記検定2級を取得することは、経理部門でのキャリアアップと同じです。
社内の他部門(総務・人事・情報システム・営業・生産管理など)で活躍したい場合には、経理部門で2年間仕事をした後に部署異動希望を部門長に提出するようにしてください。
その理由は、最初の1年間は実務経験初年度であり、実務と理論をリンクしていくことに重きを置いているということです。その後、2年目に経理部門の実務をもう一度深く経験することで会社の決算状況に強くなります。
私の経験上、1年で経理実務業務をマスターできた人はいません。
日商簿記検定3級は合格したにもかかわらず、2級には合格できない場合があるかもしれません。その場合であっても、他部門に異動になってから経理部門での経験を活かすことができます。
簿記一連の取引を2級で深く学んでおり、かつ工業簿記の基礎も勉強した状態になっているからです。ここまでの学習が行われていれば、経理部門以外の部署では十分に簿記の知識を活用できる状態になっています。
アッパー資格・複数資格の取得
アッパー資格とは、より上位の資格を指します。日商簿記検定3級を取得して簿記の基礎が理解できるようになると、その後はより難易度の高い日商簿記検定2級の勉強をすることが多いです。
さらに、日商簿記検定1級にチャレンジしたり、複数資格を取得したりすることで自分のキャリアを積むこともあります。このようにすることで、多面的なものの見方ができるようになります。複数資格を組み合わせていけば、将来専門家になることも夢ではありません。
日商簿記検定3級合格後におすすめしたい資格は、次の2つです。
- 日商簿記検定2級(是非取得をおすすめします)
- 日商簿記検定1級(キャリアアップのためのチャレンジ資格です)
簿記検定資格を取得するメリット
簿記検定資格を持っていると、個人の計画をたてるときにも利用できます。自分で資金管理ができるようになります。
また、あなたが「これから働き始めるとき」「すでに働いている状態でこれからいま以上に活躍したいとき」「キャリアアップをしたいとき」などで有利な場面が多いと言えるでしょう。
私は、20年以上経理部門で経理職を行ってきた経験があり、税理士資格を保有しています。その経験に基づいて、会社内でのステップアップの可能性を私自身の経験を交えて、以下で説明していきます。
就職前に感じるメリット
あなたがまだ働く前段階の場合には、就職にあたって履歴書を書くときに資格欄に簿記資格を書くことができることは大きなメリットになります。さらに、書類選考でパスしたあと面接を受ける際に面接官に与える印象がよいものとなります。
就職後、社内ステップアップのメリット
あなたがすでに就職している場合にも、次のようなメリットがあります。
簿記資格を取得することで、社内でのキャリア形成が描きやすいというメリットがあります。経理部門にいる場合であっても、それ以外の部門であっても活躍を期待できます。それは、簿記を学ぶことで計算に強くなるからです。計算に強くなるということは、コミュニケーション力があることと同様に社内出世のために強力な武器となるのです。
①経理部門内ステップアップがしやすい
②他部門から経理部門・経営企画部門への配置転換希望提出可能性が高い
③他部門にいる際も採算計算や開発スケジュール計算等に明るくなる
会社の経理・財務・総務・人事・企画部門では、数字に明るいことは出世の大事な条件です。
また、経理職は安定した職種であり、時間管理がしやすいため生活設計もたてやすく、女性に非常向いている職種のひとつだということもできます。
日商簿記検定資格をとりましょう
日商簿記検定をおすすめする理由
簿記検定試験には、日商簿記検定試験(日本商工会議所主催)、全経簿記能力検定試験(全国経理教育協会主催)、全商簿記実務検定試験(全国商業高等学校協会主催)などがあります。
私は税理士として会社に勤務していますが、実務上からも面接上からも日商簿記検定資格取得をおすすめします。日商簿記検定試験は簿記における最もメジャーな資格であり、受験簿記資格の中で面接官にも最もよく知られているものだからです。
日商簿記検定の何級まで必要?
「日商簿記検定資格は何級まで取得していればよいでしょうか?」という質問をよく受けます。以下、私のこれまでの実際の経験から述べさせていただきます。
経理部門で働く際に必要な級
その道の専門家の場合には、日商簿記検定1級を取得するか、相当程度の実力はつけなければなりません。
しかし、会社の経理部門で働く場合には、2級まで取得しておけば十分に通用します。その意味では、3級取得後に2級にチャレンジすることをおすすめします。
それでは、「なぜ3級資格取得をおすすめしているのか」おわかりでしょうか?その理由は、次の2点です。
①はじめて経理職に就く場合の基礎理論を学べること
②経理職で必要な簿記検定2級を取得することがスムーズになること
実務に関しては、経理職についてから実践の場で鍛えていけばよいといえます。難解な理論を学習するよりも、実務をしっかり行うことの方が重要性は高いのです。難解な理論は専門家・プロにどんどん聞きましょう。
日商簿記検定3級と2級の違い
日商簿記検定3級
- 対象:商業簿記
- 範囲:毎日の取引を帳簿に記帳し、決算をして貸借対照表と損益計算書を作成するまでの一連の帳簿組織
- 商売:単独での販売会社を想定(商売する上での必要最低限)
日商簿記検定2級
- 対象:商業簿記と工業簿記
- 範囲:3級の商業簿記の損益・貸借各項目をより詳細にしたもの。毎年範囲の見直しがされ、簡単な連結決算や外貨換算会計等が追加されています。3級の範囲外の工業簿記があります(メーカーを想定した原価計算等)。
- 商売:販売会社・製造業、本支店、親子会社を想定
まとめ
以上のように、経理職キャリアアップの方法・日商簿記検定資格取得のメリットと方法・日商簿記検定資格取得のすすめ等を私の経験から述べさせていただきました。
ビジネスパーソンのキャリアアップにつなげるためには、簿記検定資格を上手に活用することが大切です。今後自分が「何をやりたいか」「どのレベルを目指すか」によって必要になる級が異なってきます。
日商簿記検定3級資格を取得すると経理関係業務を行うための基礎ができます。経理部門以外の部署の場合は、社内で数値を使ってコミュニケーションがとれるようになります。
日商簿記検定2級資格を取得すると、経理部門で実務を深く理解できるようになり、部門内で重宝がられるようになります。他部門に対して数値を使って指導できるようにもなります。
日商簿記検定1級資格を取得すると、経理部門でのプロフェッショナルになったといえます。その上の税理士や公認会計士といったさらなるキャリアップへの登竜門ともなります。また、ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士といった関連性の高い資格を目指して、キャリアアップをする可能性もでてきます。
第1ステップとして、あなたの活躍のために役に立つ日商簿記検定3級の資格取得をおすすめします。計画的・効率的に専門学校の通信講座を受講してコツコツ勉強すれば、3ヶ月で合格は可能です。
第2ステップとして、ビジネスの基礎をしっかり固める意味で日商簿記検定2級資格を取得することを是非おすすめします。簿記3級とセットの専門学校の通信講座がコストパフォーマンスがいいです。他の受験生との交流の刺激が欲しい場合は、専門学校への通学もよいと思います。いずれにしても、専門学校を利用して最短で取得しましょう。
「会社で活躍したい」と思っているあなたが一歩ずつキャリアアップの階段を上がっていくことの後押しができれるように、本ページが役立てばよいと思います。簿記を習得した会計人が一人でも多く社会で活躍されることを願っています。