あなたは、「経営」「会計」「財務」「税務」に対してどのようなイメージを持っていますか?
私は、会計・税務・財務にこれまで30年近くかかわってきたきました。仕事をはじめたころは、理論と実務の違いに悩んでいました。それから30年近く時を積み重ねて、今では会計関連の仕事をすることは空気を吸うのと同じ感覚になっています。
これまでの私の経験してきた中でも役に立つことをコラムとして、思いつくままに自然な流れの中で書いていきます。
コラムについては、簿記の学習に疲れたときや気分転換をしたいときなどに、ながめていただけるような『読み物』といったスタンスでその都度書いていきます。気楽に読んでいただけると嬉しいです。
このページでは、「簿記が難しいと感じる理由」とルールを理解すれば「簿記は簡単で有用なツールになること」を示していきます。その結果、簿記的思考を持ち、数値に関する苦手意識を払拭していただきたいと思います。
Contents
簿記を難しいと感じる理由
簿記を難しいと感じる理由は、次の2つです。
1.抽象的な専門用語が多い
2.判断が曖昧なような気がする
この2つは、いずれも「はっきりしない」と感じてしまうことが原因です。
簿記の考え方を知っていれば、こういった誤った認識を払拭できます。すなわち、次のような原則(=ルール)を理解することで「簿記は難しいものではなく簡単だ」ということがおわかりになると思います。
抽象的な専門用語が多い
普段会話しているときに使う単語には、簿記の専門用語はあまり多くありません。簿記で使う単語には抽象的なワードが多く、「いったいどういう意味なのだろう?」と考えてしまうことが多いのです。
しかし、これは普段接することのないワードであるというだけで、単純に慣れることによって解決できるものです。
判断があいまいと感じる
簿記を勉強し始めた段階では、簿記の知識を使って判断することは難しいです。なぜそう感じるのでしょうか?
それは、簿記の次に学ぶ会計学があいまいと感じる人が多いからです。
簿記はツールです。簿記をマスターすると次は会計学(≒財務諸表論)の学習段階になります。
会計を専門的に1年以上学習していない方からは『会計学の考え方はあいまいでよくわからない』とお聞きすることが多いです。これは、会計における判断基準があいまいというイメージを持っていることです。
ざっくりとしたイメージは、次のようなことが考えられます。
【文系的思考と理系的思考の違い】
文系の学問としてのファジーさと理系の正確さとが合わないと感じることがあると思います。その結果、会計学がいまひとつピンとこないと感じたり、会計的な思考がひねくれているように感じたりするといった誤った認識をしてしまう基になっています。
文系のファジーさ
文系の一般的なイメージは、次のようになります。
文系=1+1≒2※解答は単に2というだけではなく、1.5であったり3であったりする場合もあります。
理系の正確さ
理系=1+1=2会計の世界では、「重要性の原則」というものがあります。したがって、1+1=2ではなく、1.5であったり3であったりする場合もあります。重要性の有無で判断することがあるのです。しかし、簿記の計算は左右の数値が正確に一致していなければなりません。その意味では、正確さを追求する理系の方は簿記の勉強に非常に向いています。これは、間違いありません。
機械的に決められない時に「重要性の原則」に基づいて、人が判断します。これは、全体件数のうち5%にすぎません。残りの95%は、機械的に数値があっていることが必要なのです。
理系の方の場合は、「引当」「減価償却費」といった一定の仮定のもとにルール作りをしていることを理解することで、会計=あいまいという誤解を解くことができます。
簿記のツールとしての有用性
簿記にはルールがあり、一定のルールに基づいて判断することがおわかりいただけたと思います。上記のルールが理解できると簿記は簡単になります。そして、身に付けることで簿記は強力な武器になります。
それでは、「日商簿記検定3級と2級がどのような範囲になっているのか」「何がポイントなのか」について具体的に示します。
日商簿記検定3級と2級で必要なこと
日商簿記検定3級
- 簿記は「右から来たものを左に受け流す」だけと考えるとよい。
- 勘定科目把握→仕訳→元帳転記→決算整理→財務諸表作成をおさえることができればよい。
日商簿記検定2級
- 3級の商業簿記を詳細にしたものです。
- メーカーを意識した工業簿記が試験範囲に入ります。
- 2級を持っていれば、経理職は合格点といえます。
- センスもあるかもしれませんが、時間をかけることでできるようになります。
- 専門学校のテキストには、無駄なことは書いていません。2級の簿記も別途記事を書いています。ご覧いただくと、簡単です。⇒項目毎に1行説明を入れています。⇒下記ポイントへ。
しかし、次に示すような大事なルールを理解することで、簿記を有用なツールにすることができます。
ルール理解で簿記を有用なツールにする
簿記にはいくつかの根本的な考え方があります。簿記に対する理解を進めるために私の目線で大事な基準を挙げます。
費用と収益の計上基準
「費用は早めに計上」し、「収益は遅めに計上」することを理解できれば、簿記の考え方が分かってきます。
1.保守主義の考え方
簿記は、まずビジネスを安定させて、安定期を進めて伸ばしていくことを考慮に入れたツールです。したがって、安全性を常に見ているので、お金が入ってこないと収益ではないという考え方をします。これを専門用語では、「保守主義の原則」といいます。
2.現金主義の考え方
収益は遅めに計上する。
このことを現金主義といいます。「遅めに計上する」意味は、「確実に」という意味です。
3.発生主義の考え方
費用は早めに計上する。
このことを発生主義といいます。お金を払っていなくても費用はでてくることがあります。将来キャッシュアウト(=出金)する可能性が高いことは、早めに数値を計上していく考え方です。次の2つの意味をよく考えることで、簿記というツールを使った会計の思考法が理解できます。
- 引当金の思考法
- 減価償却費の思考法
簿記のツールとしての有用性
簿記にはルールがあり、一定のルールに基づいて判断することがおわかりいただけたと思います。上記のルールが理解できると簿記は簡単になります。そして、身に付けることで簿記は強力な武器になります。
簿記検定資格を取得することを私はおすすめしています。できれば、日商簿記検定2級まで取得して社会で活躍されることを願っています。
それでは、「日商簿記検定3級と2級がどのような範囲になっているのか」「何がポイントなのか」について具体的に示します。
日商簿記検定3級と2級で必要なこと
日商簿記検定3級
- 簿記は「右から来たものを左に受け流す」だけと考えるとよい
- 勘定科目把握→仕訳→元帳転記→決算整理→財務諸表作成の順でおさえる
日商簿記検定2級
- 3級の商業簿記を詳細にしたもの
- メーカーを意識した工業簿記が試験範囲に入る
- 2級を持っていれば経理職は合格点といえる
- 時間をかけることでできるようになる
まとめ
以上、簿記を難しいと感じる理由を挙げ、あいまいと感じることから簿記への苦手意識が起きると説明してきました。
苦手意識を払拭するために、簿記の根本的な考え方をお示ししました。
学習が進むと、簿記は決して難しくなく、非常に役に立つツールということが十分おわかりいただけたと思います。
私(管理人)は、このコラムを読まれたあなたが簿記3級の勉強を開始し、本サイトの各種学習方法を参考にして、専門学校をうまく使ってラクラク合格することを願っています。苦手意識を払拭できれば後はコンスタントに学習を継続することです。